「よく噛んで食べましょう」と聞くことはあっても、なぜ噛むことがそんなに大切なのかを知っている人は意外と少ないのではないでしょうか。
実は、よく噛むことで脳が刺激されるだけでなく、体全体にさまざまな良い影響があることが、近年の研究で次々に明らかになっています。
噛むことは単なる食事の動作ではなく、「健康を支えるスイッチ」と言っても過言ではありません。
この記事では、噛むことがもたらす5つの代表的な健康効果と、それを日常生活でどう活かすかをわかりやすくご紹介します。
食事中にしっかり噛むことで、脳へ送られる血流が増加し、神経細胞が活性化されることが分かっています。
特に記憶力や集中力を司る「海馬」と呼ばれる部位への刺激が高まり、思考の柔軟性や反応速度が向上するとも言われています。
そのため、認知症の予防にもつながる可能性があり、年齢を問わず“脳トレ”効果が期待できる習慣です。
よく噛むことで脳の満腹中枢が早く刺激され、食事の量を自然とコントロールしやすくなります。
逆に、あまり噛まずに飲み込むように食べていると、満腹感を感じるまでに時間がかかり、結果として過剰なカロリー摂取につながってしまいます。
ゆっくり噛んで味わうことで、満足感も得られやすく、ダイエット中の方にもおすすめです。
噛む動作は、口だけでなく首・肩・背中・腹部など、姿勢を保つ筋肉にも微細な刺激を与えています。
咀嚼力が落ちてくると、姿勢が崩れやすくなり、猫背やふらつき、転倒の原因にもなります。
特に中高年以降は、「よく噛める口」を維持することが、全身の筋力低下予防にもつながります。
よく噛むことは、唾液の分泌を促す最も自然な方法の一つです。唾液には口の中の汚れを洗い流したり、ウイルスの侵入を防いだりする大切な役割があります。
唾液の量が減ると、虫歯や歯周病、口臭のリスクが上がるだけでなく、全身の免疫力低下にもつながります。
咀嚼を意識することで、口内環境の改善と感染症予防の両方にアプローチできます。
咀嚼はリズミカルな動作であり、脳内でセロトニンと呼ばれる神経伝達物質の分泌を助けます。
セロトニンは感情を安定させ、ストレスを和らげる働きがあり、不安感やイライラの軽減にもつながります。
「集中したい時にガムを噛む」という行動には、科学的な裏付けがあるのです。
以下のような症状や習慣がある方は、噛む力の低下が始まっているサインかもしれません。
食事が早く終わるようになった
硬い食べ物を避けるようになった
顎がすぐ疲れてしまう
唾液が出にくく、口が乾きやすい
入れ歯や差し歯が合わず、しっかり噛めない
放置すると筋肉の衰えや栄養の偏りを引き起こす原因にもなります。気づいたら早めの対策が必要です。
柔らかい食べ物ばかりだと自然と噛む回数が減ってしまいます。
ごぼう、れんこん、玄米、こんにゃく、切り干し大根など、自然とよく噛む必要がある食材を意識的に取り入れましょう。
実際に数えながら噛んでみると、30回は意外と長く感じるかもしれません。
しかしこの習慣が身につくと、満腹感が得られやすく、食べすぎの防止にもつながります。
虫歯や歯周病、合わない入れ歯などがあると、「噛むこと」そのものが苦痛になってしまいます。
定期的な歯科検診や治療を通じて、しっかり噛める環境を整えることも大切です。
噛むというシンプルな行動が、脳や体、心にまで良い影響を与えることがわかってきました。
毎日の食事で少し意識を変えるだけで、健康寿命を延ばすことも夢ではありません。
「ただ食べる」のではなく、「噛んで食べる」習慣を、今日から取り入れてみませんか?
きっとあなたの体と心に、嬉しい変化が訪れるはずです。
医療法人隆歩会 あゆみ歯科クリニック京田辺同志社山手 院長 小木曽 新
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